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あの娘が眠ってる

犬神帆波ねえやのお誕生日をお祝いして。
すう、すう……。

ワタシの隣で空也ちゃんが寝息を立てている。
今日はこっちで夕飯を食べて、ぽえむちゃんといっしょに
お風呂入って、それでもってこうして添い寝してるの。
ぽえむちゃんも空也ちゃんといっしょに寝たかったみたい
だけど、まだお仕事が残ってるので今夜は徹夜だって。
ふふん、残念でした~。

すう、すう……。

隣りで眠る空也ちゃんの顔をまじまじと見つめる。
ホント、かわいい寝顔よね。初めて空也ちゃんと会った頃
から変わっていないみたい。
柊のおじさまが沖縄の我が家に空也ちゃんを連れて来た時の
こと、今でもときどき思い出すわ。
おじさまの後ろに隠れて、不安そうにワタシと歩笑ちゃんの
顔をじいっと見ていたのよね。
ちらちらっとしか顔を見せてくれないから、ワタシてっきり
女の子かと思っちゃった。それくらいかわいかったのよ。
肌は白くて髪はサラサラ、顔立ちだって眼がパッチリしてて
声はかわいいソプラノよ。
ワタシたち三人で買い物に行くと「犬神さんところの三姉妹」
ってよく言われたものね。
あんまりかわいいから、時々ぽえむちゃんのお洋服を着せて
写真に撮ったりもしたわね。懐かしいわ~。

(……ま、それが空也ちゃんのちょっとしたトラウマになっ
ちゃったかも知れないけど……いいわよね?)

眼の前にある空也ちゃんのほっぺを指でプニプニとつつく。
指を押し返す、張りのある肌……くう~、うらやましいわっ。
「う、ん……」
寝返りを打って背中を向ける空也ちゃん。
意外と肩幅もがっちりあるし、筋肉もついてるところにはちゃんと
ついてるじゃない。こうしてみると、やっぱり成長してるのね。
沖縄に来たての頃は体つきも本当に華奢で、夜になるとワタシと
ぽえむちゃんの部屋にやってきて、時々ぐずりながらこういった
もんだわ。
「さびしいから、ボクといっしょに寝てくれる?」って。
んもう、母性本能くすぐられちゃうじゃない! 空也ちゃんてば
天性の女殺し?!
もちろんいっしょに寝てあげたわよ。ぽえむちゃんとワタシの間に
挟むようにして、三人で川の字になってね。

でもね、このままワタシたちにベッタリじゃいけないって思って
いたのは、ほかでもない空也ちゃん自身だったみたい。
自分から言い出してお父さんから空手を習ったり、団長君やイエヤス君
たち男の子のお友達もできるようになってきて、少しずつ空也ちゃんも
変わってきたのね。
そうそう、声変わりのときはショックだったわ。少年合唱団みたいな
きれいなソプラノの声が低くなって、本当に男の人の声になっちゃった
んだもの。男の人が苦手なぽえむちゃんは、空也ちゃんが別の生き物に
なったようだって言ってたわ。相当ショックだったみたいね。

前みたいにベッタリはしなくなったけど、それでもやっぱりワタシたちと
空也ちゃんは、世間一般の姉弟に比べればずうっと濃密な間柄だったと思う。
でも、心のどこかに空也ちゃんがワタシたち──もっと正確に言えば、
ワタシからどんどん遠ざかってしまうような気が、なんとなくしてたの。
空也ちゃんが男の子として一人前になるのはうれしいし、それを温かく
見守ってあげるのが姉としての務めだと今でも思うわ。
でも……やっぱり空也ちゃんには、ワタシだけの空也ちゃんでいて欲しい。
そんな願望が心のどこかにあったのね。
だからあの日、空也ちゃんの部屋で空也ちゃんがワタシの写真をオカズに
使って、その……ひとりえっちをはじめたとき、ガマン出来なくなっちゃった。
そんなことしなくていいのよ、空也ちゃん。ひとりえっちより、もっと
気持ちいいコトしてあげるって──ま、ワタシも初めてだったんだけどね。
こうして既成事実を一回でも作れば、空也ちゃんはずっと沖縄にいてくれる、
ワタシのそばにいてくれると思っていた。
でも──結局おじさまに呼び戻されて、空也ちゃんは本土に帰ってしまった。
もう、空也ちゃんはウチの子じゃない。きっとまた柊家のみんなに囲まれて
楽しく暮らして、ワタシたちのことは忘れてしまうんじゃないかと思った。

だからワタシ、空也ちゃんの気持ち、たしかめにきたの。
もちろんワタシやぽえむちゃんの仕事の拠点を東京に移すことや、お父さんが
柊のおじさまのお仕事の手伝いをするための準備って理由もあったわよ。
でもね、本当は空也ちゃんがまだワタシたちのことを家族って思ってくれて
いるのか、たしかめたかったの。
電話やメールじゃ伝わらない、空也ちゃんの本当の気持ちを知りたかったの。

結果は……そうね。忘れないでいてくれたことには感謝してるわ。
空也ちゃんがまだ、ワタシたちを家族と認めてくれていたことにもね。
柊家のお姉さんたちに囲まれてちょっとデレデレしている部分もあるみたい
だけど、それでもワタシのかわいい弟には変わりないものね。
今日だってこうして、ワタシたちの家に来てくれて、あの頃と同じように
過ごしてくれる。それって、すごくうれしいよ。

「う……ん……」
もう一度寝返りを打ってこちらに顔を向ける空也ちゃん。
やっぱり、あの頃の空也ちゃんと変わってないわね。
空也ちゃんが弟でホントよかったわってしみじみ思うわ。
(ありがと、空也ちゃん……)
眠る空也ちゃんのホッペに、ちゅっとお礼にキスをする。
「うーん……ねぇや……」
はいはい、あなたのステキなねえやはここにいますよっ♪
いったい、どんな夢を見てるのかしら──。
「ねえや……お、重い……」

ぴしっ。

──んもうっ、何よなによナニヨっ!!
なんて夢見てるのよ、空也ちゃんてばっ!!
夢の中だろうと現実だろうと、その話題はワタシの前ではご法度だって
あれほど何度も言い聞かせたのに──っ!!

んもう、しらないっ。

                         (おわり)


****************************************************************
【あとがき】
というわけでお誕生日お祝いショートストーリー第二弾は
帆波ねえやです。
前回のともねえ同様、今回もファーストシーンだけ決めて
あとはストーリーも何も決めず思いつきの即興でどんどん
書き進めて行きました。
結果としてオチがないのは、お許しを。

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佐々宮ちるだ(Tilde SASAMIYA)

  • Author:佐々宮ちるだ(Tilde SASAMIYA)
  • 19XX年埼玉県出身。おひつじ座・O型・ゲームやアニメのノベル、シナリオを書きながらゆるゆると生きてます。商業誌で漫画は描いておりません(苦笑)これまで手がけてきた作品についてはこちらをご覧くださいませ。小説およびシナリオ、企画などのお仕事を広く承っております。ご依頼、ご相談などはstargazer★myad.jp(★をアットマークにしてください)までよろしくお願いします。
    ※現在、2017年初夏以降のライトノベル・ゲームシナリオなどのお仕事を募集中です。
     サンプルテキストなど用意しております。上記アドレスまでお気軽にご相談ください。
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