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Birthday Song(第2話)

大変お待たせしました。
「なごみんお誕生日おめでとうSS」の続きです。
このところ公私ともどもいろいろあってちょっとスランプ気味の
なのですが、さらに追い討ちをかけるようなことが続きまして
精神的にかなり疲れております。
こういうときは執筆内容にも少なからず影響が出てしまうもの
でして、なかなか話がうまい方向に転がってくれず苦労しました。
相変わらずオチは考えていません。ここからどう展開するのか
私自身もよくわかっていませんが(苦笑)あと1話か2話で完結
すると思いますので、なんとか今月中には終わらせたいですね。
よろしかったら感想などお寄せください。


それでは、「Birthday Song」第2話をお楽しみくださいませ。

*************************************************************

2.

 なごみの誕生日にごちそうを作ることを約束したレオであったが、
もちろん初めてのことでいったい何をどうしたらいいのかさえ皆目
見当がつかない。
(やっぱ、こういうときはアイツに頼るしかないか……)
 その夜、レオは「対馬家の料理番」であるスバルに電話をかけた。
 ところが……。
「え? 風邪引いた……?」
「ああ、ちょっと油断してたわ……」
 受話器の向こうから、スバルの辛そうな咳と鼻声が聞こえてくる。
陸上部所属でふだんから「何事も体が資本だぜ?」とレオの健康と
食生活を支えてくれていたスバルが体調を崩すことなど滅多にない
だけに、レオも驚きを隠せない。
「おそらくバイト先でもらっちまったんだな。ま、変な病気じゃなく
風邪ぐらいでよかった……なーんてな」
「おいおい、シャレにならねーよ」
 思いもよらぬ事態にレオは困り果てた。こと料理に関しては頼れる
人物はスバル以外には見当たらない。
 とりあえずお大事に、と伝えてレオは電話を切った。
「ふう……参ったな」
 こうなったらとにかく、すべて自力で何とかするしかない──
レオは近所の商店街へと向かった。

(ええと、料理の本は……)
 レオがまず向かった先は本屋だった。
 ふだんならまず足を踏み入れないであろう、料理関係の本の
コーナーにきょろきょろと辺りの様子を窺いつつ立ち入る。
出来ることなら、こんな現場を知り合いに見つかりたくない。
しかしその様子はあからさまに挙動不審で、本屋の店員が胡散
臭そうな眼でじっとその動向を見ていた。
 レオもそのことに気付いていたので、できるだけ店員と視線を
合わせないように本棚に眼をやる。
(う、こんなにあるんじゃ、どれを読めばいいのかもわからん)
「はじめての家庭料理」「五分でできるかんたん料理」「アホでも
できる初心者向け料理」など、とりあえずこの辺から手を付ければ
いいかな、と思しき本は何冊か見つかった。
しかし何せ料理に関してはズブの素人であるレオにとっては、
どれを選べばいいのかさえよくわからない。
(うーん、とりあえずこれかな……)
 あれこれ見比べ思案して、ようやく一番わかりやすそうな一冊を
選んで裏表紙の値段を見て驚く。
(げっ、高! こんな薄っぺらいのにこんなにするのか?)
 いつも読んでいる週刊漫画雑誌の1/3もないのに、値段は桁が
ひとつ違う。
 参ったぜ、と思いつつも背に腹は変えられないと泣く泣く手に取る。

(それと、もうひとつ……)
 今度は料理の中でもお菓子やケーキ作りに関した本の並んでいる
棚に眼をやる。
 なごみにごちそうを作って食べさせることを決めたとき、
どうしても外せないメニューがあった。
(やっぱり、ケーキだけでも自分で作りたいよな)
 目に付いた本を手にとってパラパラとめくる。
 おいしそうなクリームやチョコレート、フルーツでデコレート
された眼にも鮮やかなケーキが数多く載っている。
(こ、これを作るのか……想いっきりハードル高そうだぜ……)
 なごみから父の想い出のバースディケーキの話を聞かされ、なぜか
レオの中に彼女の亡き父への妙な対抗心が生まれていた。
 もちろん今はもうこの世にいないとはいえ、自分の恋人の父親で
ある。その人に張り合うことなど無意味であることくらい、レオも
承知している。
 しかし、だからこそ自分がケーキを作ってなごみに食べさせる
ことで、少しでも彼の人に追いつきたい、新しい誕生日の想い出を
なごみにプレゼントしたい──それが自分にできる一番のプレゼント
だとレオは思っていた。
(……とはいえ、やっぱりさーっぱりわからんなぁ)
 こちらも初心者向けを謳った本をいくつか手にとって読んでみたが、
先ほどの料理の本より、さらに細かな専門用語がずらずらっと並んで
いて「一見さんお断り」といわんばかりだった。
(料理はともかく、ケーキは買って来ようか……)
 そう思いかけて、ブルンブルンと頭を振って否定する。
(ここでくじけてどうする! 俺の手で作らないと意味ねぇし!)
 とにかく目に付いた本を手にとってレジに向かおうとしたそのとき

「……よお、レオ。何買ったん?」
 聞き慣れた声がレオの耳に飛び込んでくる。
 それもよりによって、こんなときに一番顔を会わせたくない
ヤツの声だ。
「な、なんでもないっスよ、蟹沢さん?」
 よほど慌てているのか、ふだんは絶対に口にしない苗字でその声の
主──蟹沢きぬを呼んだ。
「何だよぉ、何、隠してんだよぉ。見せてくれたっていいじゃんか」
 とっさにレオが後ろ手に隠した本を覗き見よう回り込もうとするが、
レオは必死にガードする。
「あ、エロ本だろ! おめー、たまには隠し場所変えとけよ?」
「う、うるせぇ。どうしてお前にそんな心配してもらわないかんのだ」
 そういいながらもきぬは追求の手を止めようとしない。
「けっ、案外ガードが固いぜ。こーなったら……」
 きぬはニヤリと口の端で笑うと、レオの後方を指差す。
「あー! 姫じゃんか! どうしたん?」
「え? どこどこ?」
 思わず振り返るレオ。そこに一瞬、隙が生じた。
──きぬは「むすむ」をつかった!
──きぬは「レオの買おうとした本」をぬすんだ!
「あ……て、てめぇっ!」
 もちろんレオの背後には姫こと霧夜エリカの姿などない。
瞞されたと気づいたときにはすでに、レオの手に本はなかった。
「なーんだ、料理の本か。エロ本だったらご近所中に……いででっ?!」
「とっとと返せ、ゴルァ!!」
 レオがきぬの両頬を思い切りつねってビローンと伸ばす。
「いででで! は、離せ! 離せってばよぉ!」
 態度がでかくて口が悪いわりに打たれ弱いきぬは、既に眼に涙を
浮かべている。
「早く返さねぇとこのまま顔の表面積を二倍にすんぞ?」
「いでで、や、やみぇろ!」
 ようやく観念したのか、きぬはレオから掠め取った本を返す。
「いいか、このことは外のヤツにはないしょだぞ」
 頬をさすって無事を確かめるきぬにレオは言い聞かせる。
「わ、わーったよ。でもなんで料理の本なんか買うんだよ?」
「そ、それは……ほら、俺、春からまた一人暮らしだろう? 
いい機会だから自炊を覚えようと思ってな」
 レオはとっさに思いついた言い訳で、何とかごまかす。
「乙女さん、また実家に戻るんだったけ。だったらまた前みたいに
スバルに頼めばいいじゃん。そしたらボクもご相伴できるし」
「あのな、俺たち4月から三年生だぞ。スバルだって色々忙しいんだ。
前みたいに気軽に頼めねぇだろーが」
「ま、そのうち食えるものが作れるようになったらボクが味見して
やっからさ。そのときは遠慮なく言ってくれよな!」
 レオの言い訳に納得したのか、きぬはレオに手を振って本屋から
出て行った。
(ふう……なんとかごまかせたみたいだ)
 なごみの「宿敵」であるきぬの前で誕生日の計画を教えたりしたら
それこそどんな妨害をしてくるかわからない。
この計画はなごみのためにも、当日まで誰にも知られずひっそりと
遂行される──はずだった。

(けっけっけ……あまい、甘すぎるぜレオ……! このボクが、
そんな子供だましに引っかかると本気で思っていたのかよ)
 買い物を終えて本屋から出てくるレオを、電信柱の陰からきぬが
こっそり監視していた。
(ボクの推測によればあのヘタレレオが料理を作って食べさせる
相手は……ズバリ、ココナッツ! 徹底的に妨害してやるぜ!)
 夕闇迫る商店街に、不敵な笑いが不気味にこだまするのであった。

(第二話・完 以下次回に続く)



 




 
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佐々宮ちるだ(Tilde SASAMIYA)

  • Author:佐々宮ちるだ(Tilde SASAMIYA)
  • 19XX年埼玉県出身。おひつじ座・O型・ゲームやアニメのノベル、シナリオを書きながらゆるゆると生きてます。商業誌で漫画は描いておりません(苦笑)これまで手がけてきた作品についてはこちらをご覧くださいませ。小説およびシナリオ、企画などのお仕事を広く承っております。ご依頼、ご相談などはstargazer★myad.jp(★をアットマークにしてください)までよろしくお願いします。
    ※現在、2017年初夏以降のライトノベル・ゲームシナリオなどのお仕事を募集中です。
     サンプルテキストなど用意しております。上記アドレスまでお気軽にご相談ください。
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